アンティーク足踏み・手廻しミシンの販売・修理


Willcox&Gibbs chain stitch & Singer 28 修理

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難問です
[左] 矢印先にボビンの軸によってあいた窪地があります。

[中] シャトルの糸調子バネにも糸によって削られた深い溝があります。ミシン裏側の金属部品もかなり擦り減っており、相当使い込まれたミシンであるようです。

[右] 目とび(糸がねじれて所々弛んでいます。)の部分
    これまでの処置
  • 試しぬいをしてみましたが、どうしても目とびしてしまいます。針交換、シャトル交換、ボビン交換、糸交換…など消耗品が原因でないかを代替品で試してみました。また糸を引っ掛ける恐れのある傷も何箇所も取除きました。それでも目とびの症状が現れます。
    仮説
  • 一枚目の写真の溝によってボビンが設計された想定外に動き、その影響で糸が異常な動きをしてしまうことが原因では?
  • 対策として、当該部品を交換することが上げられます。

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部品交換
[左] 色々な消耗品を交換しつつ試し縫いしましたが、目とびが改善されず…

[中] 矢印の部品を交換することにしました。

[右] 当該部品(シャトルホルダー)を外したところ、写真のようにだいぶ変形していました。

シャトルのホルダーと、送り歯下のプレートを交換しました。針穴も綺麗です。

試し縫いをしたところ、目とびはなくなりました。今回の目とびは特殊で、原因はシャトルホルダーが曲がっていたため、シャトルが縫製動作中に上下にぶれた影響で糸の通り道が変わったことと思われます。

修理完了
  • 油・錆汚れをかなり取除きました。
  • 部品交換によって、綺麗に縫えるようになりました。
  • 下糸巻きも付属のボビンで綺麗に出来ました。
  • ハンドルとプーリーをかみ合わせている部分の革が擦り切れていましたので、同じく本革を巻いています。その部分がぶつかる金属音がしなくなっています。
  • 木の土台に何箇所か虫食いの跡がありましたので、補修しておきました。(最後の写真は補修前)
  • ミシン裏の2箇所のネジもつけてありますので、簡単にミシンが外れないようになっています。

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左からデニム6枚、柔らかめ牛革2枚、固め本革2枚です。
厚地への対応が出来るか確かめました。いずれも普通の家庭用の針で縫えました!さすがシンガーです。見づらいですが、オレンジの糸です。
デニムは8枚程度の厚さは大丈夫そうです。
革は柔らかめは割と軽く縫えました。堅めの革はゆっくりして針が曲がらないように確かめましたが、やはり割りと軽く縫えました。
革用の針を使えば、糸目は綺麗になると思います。
  • 送り歯の高さ、位置も調整しました。
  • 機械に満遍なく注油しましたので、縫うときに油が滴る可能性があります。初めは雑巾など試し縫いしてみてください。
  • シャトルの糸道は少しならしましたが溝は残っていますので、下糸調子(シャトルのネジ調整)はあまりせず、上糸で調子を合わせる方がよいと思います。

以上になります。ご質問や気になる点がありましたらお知らせください。

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